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ドント・ウォーリー・ダーリンのkuuのレビュー・感想・評価

3.7
『ドント・ウォーリー・ダーリン』
原題 Don't Worry Darling.
映倫区分 PG12
製作年 2022年。上映時間 123分。
女優オリヴィア・ワイルドがメガホンを取ったスリラー。
完璧な生活が保証された街を舞台に、理想の生活を送る女性の周囲で続発する不可解な現象を描く。
主人公をフローレンス・ピュー(当初はオリヴィア・ワイルドが主役を希望していたが、『ミッドサマー』(2019)で見たフローレンス・ピューを起用したそうです。)、彼女の夫をボーイズグループ『ワン・ダイレクション』のメンバーであるハリー・スタイルズが演じ、ジェンマ・チャン、クリス・パインらのほか、ワイルド監督自身も出演する。
余談ながら、作中に登場する幾何学的なダンサーは、1930年代に公開された映画ミュージカルで知られるバスビー・バークレーの振付がベースになってるそうです。

完璧な生活が保証された理想の街ビクトリーで、愛する夫ジャック(ハリー・スタイルズ)と暮らすアリス(フローレンス・ピュー)。
この街には
『夫は働き、妻は専業主婦でなければならない』
『街から勝手に出てはいけない』
といったルールが定められていた。
あるとき、隣人が見知らぬ男たちに連れ去られるのを見かけて以降、彼女の周りで不可解な出来事が頻発するようになる。
精神的に不安定になり周囲から心配されるアリスだったが、あるきっかけから街の存在に疑問を抱き始める。。。

今作品主人公のアリスを演じたフローレンス・ピューは、『ミッドサマー』(2019年)でブレイクした時と同じような演技力が求められる役どこで、間違いなくこの映画を背負って立つ存在と云える。
また、同時に、ハリー・スタイルズも共演者として巧みな演技を披露してたし、彼が現代で最もハートフルな俳優の一人やと云われる理由も理解できなくはないかな。
他の俳優陣もそれぞれ適材適所で、善き演技をしてたが、登場人物は少なく、メインカップルを中心とした映画になっていましま。
今作品の撮影は豪華で、色彩や風景は50年代のユートピアを表現してて、個人的にはその場にいたくなりました。
音楽について云えば、子守歌としても警告としても機能するメロディがあり、ハリー・スタイルズ自身によって書かれたモノ(5分で即興的に作ったという『With You All The Time』)ですが、映画の中じゃ、良いメロディであるにもかかわらず、その仕事は癒しと不穏の両方で行われ、特にアリスによってハミングされているときは少し控えめになることがありました。
しかし、ストーリーは、ユートピアの町でユートピアの生活を送るカップルから始まり、そのイメージが蜃気楼のように壊れて終わるちゅう、クレッシェンドで進んでいきます。
反面、脚本家が初めて挑んだ映画であることが明らかになり、予備知識がないと難しい社会的な話題を含んでおり、ユートピアの背後に隠れているものについて、もっと深い説明が欲しいと思わされる。
全体としては、シリアスな内容にもかかわらず、深刻になりすぎず、素直に見る人すべてが楽しめるはずの美しい映画やと云えます。
オリビア・ワイルドは、注目すべき新人監督の一人であることを証明し続けており、良い監督ぶりでした。
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