あんじょーら

ドント・ウォーリー・ダーリンのあんじょーらのレビュー・感想・評価

3.6
オリヴィア・ワイルド監督   ワーナーブラザーズ   Netflix


フローレンス・ピューが出演しているので、観てみようと思いました。何と言っても話題作で高評価の高い俳優さんですし、アリ・アスター監督「ミッドサマー」セバスティアン・レリオ監督「聖なる証明」が良かったからです。


フローレンス・ピューの勝手に私が感じる凄い所は顔だと思ってます。顔の表情、角度によって全然違う人に見えるんですね。端正なお顔立ちですし、美人の部類に入るのは間違いないんでしょうけれど、結構完全とは言えない。しかも、急に老けて見えたり、物凄く若く見えたり、目元が上がって見えたり、たれ目にみえたり、何というか表情が凄く豊かで、その時に必要な顔が出来る人に見える。決してプロポーションだって良いとは言えない(もちろん自分の事は神棚にあげておいての発言)とも思うのですが、それが「普通」に見える要素なのでは無いか?普遍性を担保できる演者なのではないか?と思うのです。様々な立場の女性が感情移入出来る(中ではギリギリの美しさ、自分でもこの人であれば私でもあり得ると思える常識感覚の最も上位存在 と書くので全世界の半分を敵に合すのではあるが )けれど、リアル。


そんな彼女が主演作、結構期待したのですが、これがなかなか考えさせられる作りになっていまして。


クラッシックなロックがかかる中、3組の夫婦がホームパーティをしている1950年代風の部屋の一室。頭の上にトレーを乗せ、その上に更にコップに入った酒を乗せて踊る3人の女。はやし立てる男性3人・・・というのが冒頭です。


凄く考えさせられる。


あくまで個人的な見解、そう感じ取った、とは言えるのですが、かなり解釈の開かれた作品です。


砂漠の中に築かれたヴィクトリータウンで豪華な暮らしをするアリス(フローレンス・ピュー)と夫ジャック(ハリー・スタイルズ 初めて観た気がしますけれど、若い頃のケヴィン・ベーコンのよう!)はジャックの仕事の内容は知らされていませんが、幸せな生活をしています。なんでこんなに贅沢なのか?なんでこんなコミュニティなのか?いろいろ気にはなるのですが、判然としません。


そんな中、不可思議な行動をとる女性が居て・・・もういろいろ不穏!


ネタバレ無しで言える事は少ないのですが、1950年代、というのが絶妙な感じです。


ある形態というのはずっとそのままの形では推移しない、という事なんでしょうけれど。


とにかくフローレンス・ピューを堪能できる作品です。笑顔の、困惑の、哀願する、絶望する、そんなフローレンス・ピューの演技が本当に素晴らしいです。


基本女性向けの作品でしょうけれど、男性が観た方が勉強になる作品。


役割について、考えてみたい人にオススメ致します。