こつぶライダー

ドント・ウォーリー・ダーリンのこつぶライダーのレビュー・感想・評価

4.0
『不思議の国のアリス』を50年代の男性優位主義で皮肉ったスリラー作品。

様々な謎をミスリードなく疑問符だけ叩きつけながら進むストレートさが良かった!
何よりタイトルが怖すぎだよね。。。

設定の説明は過不足なかった。SF要素の詰めが甘いながらも、主人公が謎を解いていって脱出するまでの筋道としては十分過ぎる中身だったと思います。

まず、主人公アリスを演じたフローレンス・ピューが輝いている。
『ミッドサマー』以降、飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進している彼女だが、今作では彼女の叫びの演技もだし、笑顔も、喜怒哀楽すべて出し切り、強い女性像を演じられた。
ラップぐるぐる巻き姿が一番みどころ?

監督のオリビア・ワイルドも前作『ブック・マート』で示した女性の誇りみたいなものを、今作でも前面に押し出してきていて、彼女の才能を確信することになった。

アリスの妻であるジャックを演じたのは、あのワン・ダイレクションのハリー・スタイルズで、彼は撮影当時、監督のオリビアと交際していたんだとか。

そんなサイドストーリーもありつつ、この作品には男性が抑圧する社会から女性が解放されるまでのエッセンスが含まれている。
スリラーとして真正面から楽しみつつ、様々な考察が出来る深い作品としても面白い。

謎めいてはいたのだが、やや新鮮味には欠けてしまった。もしかしたら『マトリックス』や『トゥルーマン・ショー』のような仮想世界での理想郷をモチーフにした作品群に近しいと感じた方が多いかも。
私は、不気味さが『ビバリウム』に近いと思いました。
つまり、類似点が多い作品だらけ。
オリジナル性では妥協点かと。

ただし、それを加味しても、パワフルな作品だったので個人的に好きな作品になりました!
こつぶライダー

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