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ドント・ウォーリー・ダーリンのhynonのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ユートピアのふりしたディストピア。

繰り返し、同調、規則、秩序、支配、閉塞感、悪夢…
そんな描写が続く。

郊外の高級住宅街、毎日同じ朝の風景、家事とご近所付き合いの日々…

そんなループに疑問を感じ、逃げ出そうとする主人公アリス。
因習的な男性支配や主婦業の束縛からの解放、ということだろうか。

だとしたら、数十年前から描かれ続けているテーマなので目新しさはない。
映像や雰囲気も「ゲット・アウト」、「マルホランド・ドライブ」、「トゥルーマン・ショー」、「サバービコン 仮面を被った街」、新「サスペリア」… などを思い出す、なんだかどこかで見たことあるなぁ、という印象。

そして、このフェミニズム的なメッセージ性がなんだかスッキリしない。

これがアリスだけの話だったら気にならないのだが…
このアリスのシチュエーションとストーリーを、「女性は家事や家庭から解放されるべき」「女性は外に出て働きたい」「それが女性としてあるべき姿」と女性全体に一般化するのはどうなんだろう。
それはそれでステレオタイプだし、フェミニズムという名の女尊女卑(主婦業や専業主婦を見下している)にも見える。

家族の笑顔と健康のために家事をし、家事や子育てにこそ意義と価値と幸せを感じる女性はみな、男性と社会に洗脳されている、とでも言うのだろうか。

そういう意味で、終盤で自らの意思で仮想世界にとどまる女性は、フェミニズムからさらに一歩進んで女性の多様性や選択性を表しているのか?(だとしたらすごい)と思ったが、展開にさほど膨らみはなく、そんな意味はないようだ。残った女性たちを肯定的に描いているようには見えないし、やはり「男はみんなバカでクズ」「女は解放されるべき」という単純すぎる図式に見てえしまう。

もし、とどまった女性たちにこそ意味が込められているとしたら、ありがちどころか斬新で先進的な映画になったと思うが、この映画からはそのような趣旨やインパクトが伝わってこない。

予告が良すぎた。
予告編が最高潮だった。
ピューは最高でした。
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