デニロ

花札渡世のデニロのレビュー・感想・評価

花札渡世(1967年製作の映画)
3.0
1967年製作公開。脚本監督成澤昌茂。

成澤昌茂監督作品は1975年『襟裳岬』の伴映で『雪夫人絵圖』という作品を観た。10代のわたしにはまったくもって理解の及ばぬ作品で早く終われという代物。この監督の名前はそういう意味で覚えてしまった。

が、本作は、幻の作品という惹句とニュープリントという言葉に何かあるのではという期待に誘われて出掛ける。

梅宮辰夫、鰐淵晴子、伴淳三郎のアンサンブルと花札いかさまの前半は楽しいが、伴淳三郎が消えてからはグダグダで情緒も何もない。前半随所に出ていた沢村貞子が後半何の説明もなく消えてしまう。

小林千登勢の小悪党がなかなかの代物で、養父をはじめとする親爺連中を篭絡するは自分のタメにならぬ女子は手下に凌辱させ売り飛ばすはとしたい放題。

徐々に徐々に積み重なった理不尽さが爆発するというような展開ではなく、主人公にもそれなりの憤りがあるのだろうがそれがちっとも伝わらぬので、親殺しにしてもカタルシスがない。ストーリーなのか演出なのか、何かが足りない。

それにしても劇場に飾ってあったポスターの惹句、「女の指を落とそうか 爺の腕を曲げようか」には笑ってしまった。そんな映画ではなかった。
デニロ

デニロ