あなぐらむ

花札渡世のあなぐらむのレビュー・感想・評価

花札渡世(1967年製作の映画)
4.3
老いかさま師・伴淳と連れの謎の女・鰐淵晴子と出会った花札師・梅宮辰夫の波乱の生き様を、大正から昭和の時代の結節にクールに描き出す成沢昌成の「華麗な技」。
脚本家監督だけに、流石に出てくる女性がみな明確に描き分けられて粒立ち、男臭さは全く前面に出ず女の生き様を見つめるある種ハードボイルドな作劇に、梅宮の端正な顔立ちがするりと合う。

妖気さえ漂う鰐淵の美しさ、跳ねっ返りな悪女の小林千登勢、場末の女給の憐れが似合う城野ゆきと適材適所の女優陣も見応えあり。
前半出てくる沢村貞子はやはり上手いし、梅宮と不思議な友情で結ばれる伴淳三郎が抜群に良く、今回も安定の外道を楽しそうに安部徹が演じている。
スタジオワークもしっかりしている。
チーフ助監督が山口和彦なので、恐らく後半に見えるゴアな殺陣演出は彼の味では。