こっふん

胸騒ぎのこっふんのネタバレレビュー・内容・結末

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

2024年 123本目

・いや〜めちゃくちゃ良い。風刺効きまくりの究極胸クソ作品。今年も北欧スリラーがアツい。
・家族団らんの映像でも、音楽次第であそこまで不安な気持ちにさせられるか。終始緊張感を煽る音楽にハラハラした。
・特に序盤、違和感を感じるラインが絶妙で本当に恐ろしい。絶対に一線は超えず、やりすぎてないからこそ強烈に恐怖を感じる。
・アーベルがビャアンに口を開けて見せるシーン、あれは彼なりの警告だったのか。
・ラストの石打ちによる処刑。聖書の中で、自分の子をモレクという神に献げた者は、石打ちに値する大罪だとする話があるらしく、それをモチーフにしているっぽい。
・本作のテーマとしては、相手の好意に対しての過度な尊重、男らしさの欠如という2点が挙げられると感じた。
・原題「Speak No Evil」(言わざる、悪口を言わない)のセンス抜群。アーベルの舌がないことと、相手の好意を尊重しすぎてNOと言えない世間の風潮を風刺していることがかかっていて、めちゃくちゃ好き。自分もその1人やけど、日本人のほとんどがきっぱりNOと言えない傾向があるなと思う。作中の夫婦のように、ありがた迷惑を断れず受け入れてしまう。
・本作は、ビャアンの前時代的な男らしさの欠如が招いた悲劇だと感じた。ビャアンには断る、抵抗する、NOと言う勇気がなく、違和感は全て飲み込み耐え続ける。パトリックにも泣きつく情けなさ。終盤、車で逃げ出すチャンスがあったのに無抵抗。行動する勇気がない。今思えば、冒頭のプールのシーン、パトリックに椅子を譲るところからすでに始まってたんやろうな。途中、いやはよ帰れよ!!って何回もイライラしたけど、それこそこの作品のテーマだと納得。
・一切の救いがない、究極の、最悪の胸クソ作品。ラストは想像できる中で最悪の展開。久しぶりにとんでもない絶望感を味わった。
・ジェームズ・マカヴォイ主演、ブラムハウス製作のハリウッドリメイクがめちゃくちゃ楽しみ。最悪で最高の作品だった。
こっふん

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