みちゃまる

胸騒ぎのみちゃまるのネタバレレビュー・内容・結末

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

最初の30分と最後の30分は全然別物。どうしてこうなってしまったのか…。
最後までオランダ人夫婦の目的がよく分からない。他の夫婦から子どもを奪って何かメリットがあるのだろうか?エンドロールの意味深な天使の絵画も意味があったのだろうか?もし宗教的な要素が関与しているなら深くは分からない。
少しでも違和感を感じたらそれは信じた方が良かった。正直帰ってさえしまえばそれきりの関係だし、あの時何とでも言って帰れば良かった。海外の人ならはっきり言いそうなものだけど、日本人はデンマーク人夫婦のような人がきっと多いだろう。
そして途中の会話で、カーナビに頼りすぎると地図が読めなくなるとの話題があった。おそらくこの作品が言いたいこととしては、ネットなどに頼り切り自分の頭で考えなくなってしまった現代人への警鐘なのではないかと思う。考える力を失くしてしまうと、他人(=ナビ)に従うだけになってしまう。どうしてデンマーク人夫婦は全く抵抗しなかったのだろう。それは考えることを諦めたからだと思う。拘束されていた訳でもなく、言いなりになって服を脱がなくても良かった。打開策はあったように思えるが、諦めてしまえば何も出来なくなってしまう。他人にただいいように飼いならされるだけ。そして大事なものも失う。デンマーク人夫婦とオランダ人夫婦、母国語が違うから相手にとって都合の悪い話は母国語でしてしまえば相手に分からない。それはネットに不満や悪口を書き込んでいることと変わりない。
これは私達も同じようなものではないだろうか。ネットに国の政策に対して不満を垂れ流すが、特に行動は起こさない。結局国のいいように飼いならされているのだ。
こうした警鐘がこの映画の目的なのであれば、オランダ人夫婦の動機は特段必要ないのかもしれないと感じた。
子どもに関しては舌を切り、物理的に喋れないようにした上で恐怖で支配する。母国語が違っても、舌が無ければ他人には分からない。子どもを取っ替え引っ替えしていたのは、成長して自分達に歯向かったり、自分達の存在を外に知らさないためにある程度の年齢になっていたら殺していたのかな。

小さな違和感から少しずつ確信に変わっていく緊張感はサイコホラーらしく、作品から読み解けるメッセージ性も含めて良かった。ただ胸糞展開ではあるので、見る人をかなり選ぶとは思う。
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