氷雨水葵

胸騒ぎの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
3.0
2024年26作目

反吐が出る

◆あらすじ
イタリアでの休暇中、デンマーク人の夫ビャアン・妻ルイーセ・娘アウネスは、オランダ人夫婦のパトリックとカリン、息子アーベルと出会う。

意気投合した6人は食事をともにし、後日ビャアン一家は「週末を過ごさないか?」と招待される。

人里離れた夫婦宅にやってきたビャアン一家だったが、会話や行動のなかで些細な違和感を覚え、やがて’’胸騒ぎ’’となってじんわりと広がっていく―――。

◆感想
観た・・・が、とんでもない胸糞映画だった。終幕後、イライラが限界突破しかけて「どこに感情ぶつけたらええねん」と一人心の中で発狂してました。いや、面白かったよ?ゴア描写一辺倒よりは人間の狂気のほうが好きやし、ワクワクドキドキできる部分があって良いと思うねん・・・けど、今作に関しては、かつてないくらい胸糞シーンだらけで、個人的には『マザー!』に匹敵するトンデモ映画だった。同ジャンル(北欧スリラー)の『ミッドサマー』がマトモに思えてくる。
当時「ミッドサマーって面白い?」と友人に聞かれ「うーん、セッ描写あるしイライラするシーンも多いからおすすめしないよ」と言ったけど、すまんあれはまだマシなほうだったわ。そもそも、怖さの種類(質感?)が全然違うかった。

今思えば、鑑賞当日のうちに感想書いておくんだったな~・・・だって、ワンシーンワンシーン思い出すだけで吐きそうだし、不快感に襲われキーボードに当たり散らかしそうになる。それくらい、今作は胸糞映画ナンバーワン。

てか、そもそも旅先で出会った家族とその後も交流を持つなんてありえないんやけど、そう思うのは私だけ??ホームステイとかで親交が深いならわかるけど、所詮は同じ旅先で出会った赤の他人やん?使ってないビーチチェアーを譲ろうが、一緒にご飯食べようが、それきりじゃないの?・・・と己の価値感全開で観てた。ワンチャン仲良くなって、週末家に招待されたとしても、少しでも胸騒ぎがしたら退散すると思う。まぁ、本当にそんな状況になったら、人間って不思議なもので冷静な判断ができないとも思うけど。本作に関して言えば、妻ルイーセの判断は正しかったな。けど、問題はその後よ。おい娘、なに「うさぎさんがいない」ってふざけたこと言うてんねん!!お前ずっと抱きしめてたやろ!!てか、それくらいで泣くなや。いや、落ち着け私。問題はまだある。そう、泣きわめく娘を見かねたのか、夫ビャアンはまさかのオランダ人夫婦宅に戻るという愚行。サスペンス映画でありがちな「なんでそんな行動するの?」状態で、せっかくのチャンスを・・・と残念な気持ちでならない。しかも、男女の関係をやり直すかのような、絶対に最高の週末にするよ!みたいなテンションで、のこのこ留まるビャアン・ルイーセにまったく共感できない。「私ベジタリアンなのって言えばいい」「金持ちじゃないから小さいベッド(ほぼ床)しか用意できないの」etc・・・オランダ人夫婦の言うことはごもっともやけど、これくらいの論破で最初に感じた違和感が消えるわけがなかろう。かたや女性陣は庭掃除をし、かたや男性陣はプールでお酒を飲みって、数時間前の胸騒ぎどこいってん!?

まぁ、でも夫婦宅に戻ってきてからが本当の地獄だったよな。外食するも招待された側が奢らされ、爆音で音楽流され不快になり、さらに隣接する小屋でとんでもないものをみて、挙句の果てにはオランダ人夫婦の息子の変わり果てた姿を・・・って、胸糞指数MAXで、もうミニシアターの天井を見上げてたよワイ。夫氏の逃げる判断は間違ってなかったけど、なんでルイーセに「アーベルが死んでる!」って言わなかったんだろう?そして、なぜ車のキーを一瞥するだけで、なにもしなかったビャアンお前。結果的にカリンがハサミを持っていたから、正直逃げ切れたかはわからんし、五分五分だったかもしれんけど、それでもチャンスがあるなら家族のために行動に移すべきだったのでは。’’おもてなし’’の数々にイライラすると同時に、ここらへんのビャアンの行動がガバガバすぎてほんまに無理やねんけど。

最後、アウネスの舌がとんでもないことになるけど、全裸にされたビャアンとルイーセの末路のほうがいろいろ可哀想だったな。どちらも見ていて気持ちいものではないけど、あまりにも凄惨すぎて言葉がでない。ジャンプ漫画みたいに「どこかに希望はないのか?」と必死に妄想してみたけど、北欧サスペンスはそんなに甘くなかった。

’’誰にも言えない、届かない’’この胸騒ぎ。

「もう一回観たいか?」と聞かれると、ノータイムでNOと答えるくらいには不快指数リミットブレイクな映画でした。あ、BGMめっちゃ怖かった。
氷雨水葵

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