犬里

胸騒ぎの犬里のレビュー・感想・評価

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
3.5
ずーっと違和感・嫌な感じでじわじわ締め付けられ、ラストの怒涛の展開のアクセル全開な感じが怖くて良い。
あそこで引き返さなければ……娘がウサギのぬいぐるみを忘れたと言い出さなければ……いやそもそもオランダに来なければ……イタリアに行かなければ……
じゃあどのポイントなら引き返せたのか?これはとても難しい。

主人公夫婦の、特に夫の方(ビャアン)の大人しくてトラブルを避けるために笑顔でやり過ごす、その内気さ、平凡さが仇となる。
終盤、ルイーセはあまりの展開に正常性バイアスがかかって車に乗ってしまったのかなと思うし、ビャアンは絶対に車から降りてはいけない理由を妻に言うべきだったよなぁ。
立ち小便するためにパトリックが鍵をさしたまま車の外に降りたシーンとか、娘が連れ去られた後の車内とか、抵抗できるタイミングはいくらでもあるように思える。しかしそれをせずに大人しく車に乗ったままなのは、ここまでのじわじわ締め付けるような日々を過ごすうちに、ほんのり洗脳された感じになっていたのかなぁと思う。ビャアンがパトリックと二人だけで出かけて、悩みを聞いてあげて打ち解けるところなんか、すごくマインド・コントロールぽい。
ビャアンは妻に投石された瞬間から死にものぐるいで逃げようとする顔になるけど、もう時すでに遅し。
そして娘は両親のことをずっと待ち続けているに違いない。哀れ。
スウェーデン人をdisる、デンマーク人あるあるのジョーク(?)がサラッと出てきたのには笑った。
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