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僕らの世界が交わるまでのEDDIEのレビュー・感想・評価

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)
4.0
すれ違う母息子。お互い自分の世界に閉じこもって殻を破れない。親子に限らず、人にはお節介なところがある。“相手のため”という大義名分を盾にしてるだけで結局自分のことしか考えていない。そんな似た者同士が痛みを知れば世界が交わるって話。

いやぁ良かったよ!
ジェシー・アイゼンバーグ初監督作品。

これまでの彼の出演作を踏まえると、彼の味が作品にも投影されている感じがありました。
そう、息子ジギー役のフィン・ウルフハードがなんとなくジェシーに見えてくる不思議。

この映画は親子の確執の物語で、ただいわゆる“再生物語”とは一線を画します。
もともと映画における親子の再生物語って、親と子がすれ違っていて少しずつお互いの誤解を解いていったり、交流によって信頼が増していったりってものだと思うんです。あくまで私見ですけど。
ただ、本作は決して親子の再生の過程が丁寧に描かれているわけではありません。
むしろラストは結構唐突。無論ネタバレにならないように細かい言及は避けますが、それだけこの映画は映し出し方が一方的です。

母親のエヴリンの視点、息子のジギーの視点。それぞれがある意味丁寧には映し出されるんですが、決して交わりません。
親子なんでもちろん一緒の空間にいることは映画の中でも多いです。でもだいたいは対立しています。
そんな2人が唐突に交わる。
タイトルにある世界とは親子の境界線なのかもしれません。
とはいえ、ラストは急に涙腺やられましたよ。それまでは全然何ともなかったのに突然。これが画の力ともいえるでしょう。

まぁジェシー・アイゼンバーグの監督デビュー作ということもあり、荒削りで上手いとも言えませんが、彼特有の色が出ているので凄く退屈せずに観られました。
いやぁ良い映画だったなぁ!

〈キャスト〉
エヴリン・カッツ(ジュリアン・ムーア)
ジギー・カッツ(フィン・ウルフハード)
ライラ(アリーシャ・ボー)
ロジャー(ジェイ・O・サンダース)
カイル(ビリー・ブリック)
アンジー(エレオノール・ヘンドリックス)

※2024年新作映画7本目
※2024年劇場鑑賞8本目
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