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僕らの世界が交わるまでのせっのレビュー・感想・評価

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)
4.0

DVシェルターを運営する母親エヴリンと自作の曲を配信して稼ぐ息子ジギーの似たもの同士なのに相容れない微妙な親子関係を描いた話。

この家族、影が薄すぎる父親も生涯功労賞とやらを貰えるほどすごい人で母親もシェルター施設の経営者でその息子も配信でちゃんと稼いでいて、全員優秀で恵まれた一家。今の生活に不満がないから、自分の欲求をさらに満たす+‪α‬を求めている2人って感じだった。

ジギーが政治(というか世の中への不満?)がないのも、良い方向に捉えればそれだけ今まで何不自由なく生きてこれたからでは?とも思った。生配信で承認欲求は十分すぎるぐらい満たせている。エヴリンの方も、DVの旦那から何人もの人を救ううちに感謝されることに慣れてしまってる。でも、中流家庭ってどこの国の家族もこんな感じかなと思った。

父親も唯一怒るタイミングが自分の授賞式に来なかった時で、父親を含めて自分にしか興味のない家族。でも、父親だけは今感じる物足りなさを埋められるのは家族だけと気づいているようにも思った。

そしてその恵まれた中にいるから2人とも自分の立場の優位性に気づいていない。人が自分に優しいのは自分に気を使っているからではないか?という視点を持ち続けないとやと思った。人の騒音に怒って自分の騒音に気づかないババアにはなりたくないからなぁ。
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