コーディー

僕らの世界が交わるまでのコーディーのレビュー・感想・評価

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)
3.9
母と息子、それぞれが対人関係を通して理想の自分を模索するも、自己肯定感を高めるための善意や好意は空回り、なりたい自分も遠ざかる…
そんな一向に交わらず充実もしないナルシシズムに憑かれた親子の並行世界を痛々しさと優しさで描くJ◦アイゼンバーグ風味w好きやな〜

〝フォロワー2万人〟が自分を誇れる唯一の勲章なジギーと、DV被害者を支援する避難所を運営する母エヴリン。
そうやってSNSでの交流や善意による人助けで他者や世界と交わるも、その先にある空虚な自己からは抜け出せず…そんな他人どころか親子の疎通さえ儘ならない二人の独り善がりが哀れ過ぎたけどwなんだか愛おしい!

政治的思考に優れた女子に想いを寄せ、何の知識もないのに同じステージに立とうとするジギーの薄っぺらさも相当やけど、無害なフリして自分の価値観を押し通すエヴリンは更にタチが悪いwそんな無意識に一線を越えるジュリアン◦ムーアの演技に鳥肌が立ったし、やっぱ凄い俳優さんやな〜と改めて思った。

ただ、さすがにジギーやエヴリンの描き方は過剰と言うか、意地悪過ぎる感じもするけどw
狭い世界でジタバタする人間を笑えないレベルで描きながらもしっかり愛も感じたし、J◦アイゼンバーグ好きとしては、らしさに溢れた初監督作で嬉しくなった。