れおん

僕らの世界が交わるまでのれおんのレビュー・感想・評価

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)
3.1
今日は世界中の君たちに新しい曲を発表しよう!音楽で稼ぐと決意し、二万人のフォロワーがいる高校生の僕・ジギー。"シェルター"を運営するなど社会奉仕に身を捧げ、何事にも律儀すぎる母・エヴリンに、僕はうんざりしていた。幼い頃、いつも私の味方だった息子は今や何を考えているのかわからない。互いに自己愛が強く、己のやるべきことだけに奮闘し、空回り。似た者通しの僕ら・私たちの、世界が交わるまでの物語。

ジェシー・アイゼンバーグの自伝的家族像、主観的に捉えたそれぞれの世界が妙に不自然に融合する。ジギー視点だけだったら、"The Perks of Being a Wallflower"や"Diary of a Wimpy Kid"的でそれはそれで深みを感じられそうな物語なのに、母からの視点の世界が往々に介在して、その世界がいわばホラー的要素もあるところ、映画としての脚色不足が否めない。要するに、ふたつの世界はどっちつかずで、不必要な筋の物語がそれぞれの世界で幾つもあり、結局、ふたりの世界は平行線。

ジュリアン・ムーアといえば、個人的には『ハンニバル』シリーズのクラリス...。『IT』や『ゴーストバスターズ』でお馴染み、フィン・ウルフハードがジギーを演じる。ポスターからは良作の匂いが漂っていて、期待値がかなり上がっていたところ、完全に裏目に出た。

他人は他人。家族は家族。他者との関係性の構築に失敗したとき、行き場のない心の拠り所として、受け皿的存在となる家族。それでは母親は一生、子離れできないし、息子は一生、自立することができなくなる。果たして、この家族に幸せは訪れるのだろうか。
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