このレビューはネタバレを含みます
詳しいレビューはあと何度か見てからにしようと思う(いつになるか分からないが)
アロノフスキー作品群の中だとレスラーと比較されるであろう内容だけどあの頃より色んな意味でアロノフスキーに進化が見える。
レスラーはめちゃくちゃ見易い作品で(それがダメとは言ってないしレスラーは傑作)主人公も愛すべきクズでありこの手の作品にはもってこいのタイプで観客に愛される事が約束されたストーリーとキャラクター設定。
レスラーと比較すると今作は明らかに観客に媚びるストーリーにはなっていなくて主人公と看病をしてくれるリズには同情出来てもその他のキャラクターやドラマ(揉め事)には明らかに嫌われる要素がある。
レスラーのリアリズムと賛否両論のあったマザーのシュールレアリスムを混ぜたのが今作ホエールな印象で結果としてオチ含めて新しい事をやってのけてると思う。
全体的に演技も素晴らしくブレンダン・フレイザーは評判通り最高だったしセイディー・シンクも予想以上に頑張ってて感心した。
贖罪、自己嫌悪、疎外感、他者からの評価、善悪のバランス、人との繋がり、そして宗教など色々な要素が絡んでいたけど上手くまとまった秀逸なドラマだった。
なにより肥満の主人公を同情的に描いてない所が良かったかな(それやり過ぎると単なる不幸ポルノになってしまうし)
それと元ネタになってる舞台を書いたサミュエル・D・ハンターの脚本も素晴らしかったのだろうな。
99%家の中だけで展開される作品だけど全く飽きる事のないアロノフスキーの絶妙な演出やカメラワークやリズムや編集そして役者陣の演技は紛れもなく一流シネマだった。