健一

ザ・ホエールの健一のレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.8
その『罪』は『鯨』より『重』い・・・



「レクイエム・フォー・ドリーム」は大好きだが「マザー!」「π」はキライ。
「ブラック・スワン」「レスラー」は凄い作品だとは思うが再鑑賞したいとは思わない。
一風変わった作風で衝撃作、感動作、怪作、問題作、大作と撮り続け 決して『型にハマらない』監督 ダーレン・アロノフスキー。
ゆえに作品の出来も凹凸が激しい監督。😅
とはいえ。
エレン・バースティン、ミッキー・ローク、ナタリー・ポートマンと。
一度沈んだ俳優を復活させる技術はピカイチ!
本作でも長らくご無沙汰だったブレンダン・フレイザーを復活させ、見事アカデミー主演男優賞を受賞させました。

体重272キロ。余命わずか。孤独の塊。
最後に疎遠だった愛する娘に何かしたい。
すべてをさらけだす。
失うものは もう 何も無いから・・・

本作でオスカーを獲得したブレンダン・フレイザーがこんな演技派だとは思わなかった。😵
見逃してしまいそうなくらい繊細な演技。
あんな巨大なファットスーツを着てさぞかし大変だったろうに。
愛する人の死、娘への想い、過去に冒した罪への後悔。
激しく身体を動かすことが出来ないので ほぼ表情だけで表現しているこの名演。
アカデミー賞も納得の素晴らしい演技でした。
同じく助演女優賞にノミネートされたホン・チャウも素晴らしかった。
「ダウンサイズ」「ザ・メニュー」と今までは正直パッとしない印象だったが、本作で一気に開花したのでは。
この人もブレンダン同様、こんな凄い演技ができるとは思っても・・・

そのほか宣教師の若い青年、父を憎む娘、元妻と 主要キャストはこの5人なのだが、この5人が全員素晴らしい演技を披露してくれているので一瞬たりともスクリーンから目が離せない。

とは言え・・・

ちょっと宗教めいてるというか。
『神の存在』とか『終末論』とか・・・
「マザー!」の悪いところが少々復活してしまっているかな?
聖書の引用が出てきたり、宣教師を登場させたりと・・・
この『宗教感』が個人的にはかなり 煙たかった。
ラストの『あれ』も・・・
そうゆうこと なんでしょ? たぶん。

本作はほぼ主人公の家の中での密室劇。
窓から見える景色は ほぼ雨で薄暗い。
小さな 小鳥 が雨宿りにやってくる。
深い孤独。 深い深い孤独。
無条件に癒してくれるのは
『食べる』こと。
身体は『鯨』のようになる。
寿命は縮む。
余命わずか。


どうか、私を許してほしい・・・


彼は 深く 静かに ほえーる(吠える)。



2023年 4月7日 公開初日 13:15〜
イオンシネマ板橋screen 7
💺154席
客入り 40人弱。

宣教師の青年を演じたタイ・シンプキンス。
何度か 一瞬 トム・クルーズ に見えたのは私だけでしょうか・・・😵
健一

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