"教えてくれ、私は悍ましいのか?"
最愛の恋人アランを失ってから過食に走り、272キロもの体重となったチャーリー…
その重さは、自らの命をも脅かす…たった一つ気がかりなのは、8歳で別れた娘エリー…
母親である別れた妻でさえ、"邪悪"と呼ぶエリーとの絆を取り戻そうとするが、父チャーリーへの怒りに満ちたエリーは言い切る…
"あんたが教えてくれた…人間はロクデナシだって…"
それでもチャーリーは、素直に怒りをぶつけてくれたエリーを信じるのだ…それが家族を捨てた自分の身勝手だとしても…
打ちのめされてしまいました…ブレンダン・フレイザーがオスカーも取った復活作として評判の本作がこれ程まで衝撃的な作品であったのかと…
元々戯曲が原作だけに、舞台のようにチャーリーの部屋だけで進むストーリー展開は、派手さがないだけにやもすると退屈に思えるかもしれません。
ですが、今作は濃厚な会話劇に仕上がっていて、俳優陣がもの凄い熱量の演技を魅せ、ラストシーンの素晴らしさに心震えたのでした。
チャーリーとエリーだけでなく、皆が何かを喪失し、もがき、文字通り格闘する様がスクリーンに広がるのです。
エリーの怒りは、片足を喰われた白鯨への復讐の炎を燃やし続けるエイハブであり、その巨体故に攻撃を受け続ける白鯨がチャーリーであるように思えてなりません…