こうみ大夫

ザ・ホエールのこうみ大夫のレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.7
なんだよ持ってかれたよダーレン・アロノフスキー。
サム・メンデスもそうだったが、一つのキー舞台を中心とする完全なる演劇の方式で映画を描く。しかも肝心なところはかなり映画的に。会話劇でしかも不在の一人を描くという無能には出来ない演出をサラリと見せる才能たるや。
正直であるということ。救いがあるかということ。私たちには誰も救えないし、神も救い得ない。しかし正直であるということは何よりも、それは神の救いよりも喜びを与える。尊厳死のような話で、人間最後に綺麗にお世辞的に死ぬのではなく皆に正直言われながら死んでいくのもステキだなと思えた。世の中で大概と思われてることを「まぁ分かる気がする」と思えたらきっと良い映画。家族で行ったあの時の海が最後の海だった、確かに引っ掛かったがあのセンテンスをここまで絡め取って描いてくるダーレン・アロノフスキーは天才なんだろうなぁ。
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