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ザ・ホエールのmsyのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ブレンダンフレイザーの特殊メイク、確かにすごかったけどチャーリーを見世物にする時間が長めでちょっとしんどい…
最後自分でカメラをオンにして全部さらけ出す心理もしんどい。学生に撮られてるし。

宣教師のトーマスがもしかしたら本当にチャーリーを救うのかと思われたが、彼自身が二世信者としての囚われ(宣教師にふさわしくない自分)からエリーによって救われただけであり、そこのリアリティがすごかった。彼の救いとはニューライフの教義に基づくものでしかなく、自分が育ったコミュニティに許されまた迎えられた事を喜んでる。マイノリティな宗教の二世信者はかわいそうな一面もあるが、そこは彼らにとって温かいホームでもある。恐らく信心するか除名の二択しかなく、世間とのギャップに苦しみながらもホームを捨てられない二世が多いだろう。トーマスは疑いなく信心しているようだったので、ある意味安心した。チャーリーと愛し合ったアランは苦しんで自死を選んだ。

妻と娘を捨ててまで一緒になったアランを失いチャーリーがあの姿になっていった経緯が容易に想像できる。
そこを執拗に映すことには気が削がれてしまったが、ブレンダンの演技は間違いなく素晴らしかった。

リズのキャラクターも秀逸で(下で待ってる、は泣いた)、チャーリーを全面肯定しているのでそれがエリーを救い、元妻も救っていたように思う。元妻の、エリーをちゃんと育ててないと思われたくなかった心理にはもらい泣きする、しかし最後にエリーがチャーリーを見送った時に彼女の子育ても肯定された。ここまで見て世界には宗教も神も不要と思われるがそこで生きているトーマスのような人もいる。それを否定しないからそちらも誰をも否定しないで欲しい。そうなってくれたら世界はもう少し問題が減るはず。たくさんのことを考えさせてくれた映画でした。
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