ほとんど一つの家の中のシーンなのに全く退屈しない。逆にそのロケーションの単調さが、過食で272kgになり補助器具なしでは歩けなくなってしまった主人公の孤独や社会からの隔絶を際立たせている。
アパートの二階に住んでいるというのがまたさらに哀愁を強調する。彼がボーイフレンドとこの部屋を契約した頃はまだ痩せていて、階段の上り下りなど苦にならなかったのだろう。
見た目が醜くても心は...というような美女と野獣的な話では全くなく、巨漢の主人公は過去にそれなりの罪を背負っていてそれに苦しみながら生きている。それがこの物語をリアルで心を震わせるものに仕立てている。