かんふー

ザ・ホエールのかんふーのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

重くて悲しいお話。どう捉えればいいか難しい。
チャーリーの言動を全て肯定することはできないけど、それでも娘に対する優しい眼差しを見ていると、最後にどうか心を通わせ合ってほしいと願わずにはいられなかった。
チャーリーは、恋人を優先して妻子を捨てるという決して良くない行動をとった上に、死の間際になって娘と和解したいというある意味利己的な願いをもつわけだけど、多分見た人誰もがチャーリーのことを100%責めることはできないと思う。それは(行動に移すかどうかは別としても)人間誰しもそうした弱さを孕みながら生きていると思うから。恋人を失って、生活が乱れて肥満になってしまったことも、映画ではものすごく極端に描かれてるけど、喪失が自分の心身に良くない影響を与えること(例えば不眠、過食、拒食とか)は、誰にでもあり得るようなことで、人間はそれくらい繊細で脆い。

恋人を失うこと、父親を失うこと、夫を失うこと、兄を失うこと、家族を失うこと
愛する人の喪失に耐えられるほど人間は強くないし、愛の方向性が必ずしも正しいとも限らない。けれども、傷つけたり、傷つけられたりしながらも、それでも誰かと愛し合って繋がりあって生きていくしかないんだろうなぁと感じました。

追記
とにかくブレンダン・フレイザーの演技がすごい…!心を揺さぶられるというのはこのことか。これだけでも一見の価値あり。