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ザ・ホエールのmaoのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.2
恋人を失った悲しみから鬱で過食に陥り272kgになったチャーリー。家からも出ず心不全を患いながら病院に行くことも拒否、死ぬ前に恋人を選んだがために別れてしまった娘エリーと再会しようとする。

主人公が自分勝手で全く感情移入できなかった。恋人を失った悲しみでこの体重になるまで助けを求めなかったのに、死ぬかも…となったら捨てた娘に金をちらつかせ連絡を取る。娘の立場からしたら、自分は捨てられたのに何年かぶりに会ってブチ切れたくても死ぬ間際で病院へも行ってくれない父親へ何を言えと?ってなりそう。それでも親は親だしね。

娘役はストレンジャーシングスのマックス役、セイディーが演じていたので観たかった今作。宗教色が強いので同監督のマザー!と同じように理解できてない部分もありそう。作中に出てくる白鯨も知らないので、全然拾いきれてない。

主人公目線だと自己中としか言えない話だったけど、亡くなった恋人の妹が献身的にチャーリーを介護しようとする姿はなかなかキツかった。彼女にとって兄が大切にしていた人がどんどん弱っていく姿を見る事しかできないやるせなさ、本当の意味で他人を救う事など人にできるのか。
人は一人では生きられないと兄の死で学んだからこそ、手を差し伸べたのかもしれないが、人を救う為の宗教が兄を追い詰めた事実は消えない。
難しい役どころを演じていたホン・チャウ、ザ・メニューとアステロイドシティしか観たことなかったけど一気に注目株。全員良かったけど彼女が優勝だった。

人間の心の弱さ脆さを描いているんだろうけど、泣けるような話ではなかったかな。ほぼワンシチュエーションで2時間もたせられるのは役者の技量だと思うので、見て損はないと思う。ブレンダン・フレイザーの特殊メイクもリアルで凄い。ピザにあれこれ乗せて貪り食うシーン、ちょっとやり過ぎで笑ってしまった。
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