ハニルくん

ザ・ホエールのハニルくんのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.0
父と娘の愛を描いた映画は無条件でいい映画であるといいたいのだが、ここまで同性愛を至高のロマンとされてしまうとさすがに共感が難しい。その上で思いもかけなかったのが、キリスト教信仰の是非の問題、終末論信仰と宗教二世の問題がかなり中心部に食い込んでいたことである。見かけを見れば、究極の不幸を体現した主人公。その最後の生きる望みは、文学の魅力なのか、あるいは看護師のリズの愛情なのかと思いきや、実は娘だった。その上で対立項は宗教的罪の問題であり、「神」であった。しかし、ラストはそれらを乗り超えた宗教的体験として解釈すべきであり、主人公はある種の救いに至ったと見るべき終わり方なのだろうと思うが、やっぱり同性愛の扱いが割り切れなかった。残念。