たま

ザ・ホエールのたまのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.0
小さなアパートで繰り広げられる会話劇。
息苦しくなるほどの閉塞感は、画面のサイズとも関係しているのかも。画の薄暗さもしかり。
巨体で身動きの取れない、チャーリーの風貌も相まっている。

チャーリーの娘エリーにとって、チャーリーはまさに憎むべき鯨。
自分の痛みの原因である。
チャーリーは荒れくれたエリーを何とか救い、自らの罪を償いたいと思う。

トーマスもリズも、チャーリーを救うことで、自らを罪悪感から救おうとしているのかもしれない。

エリーが白鯨について書いたエッセイがこの物語の肝となる。

この鯨は感情を持たず、どれだけエイハブが彼を殺したがっているかも知らない。ただの悲しい動物だから。また、私はエイハブも残念だと思う。彼は鯨を殺せば人生がよくなると思っているけれど、現実はそうならないからだ。

気持ちは分からないでは無いけど、エリーの言動には、少し見ていてウンザリさせられてしまった。

巨体から見せる、ブレンダン・フレイザーの瞳が悲しい。
「ハムナプトラ」よりも「青春の輝き」のブレンダンが好きだった。あの繊細さが甦ってきた。

長く続いた閉塞感から、ラストシーンで開放された。大海原へ出た鯨のように。
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