若い女性が兄を探してたどり着いた寒村には奇妙なカカシがたくさんあった。村人に聞けばもうすぐカカシ祭りだと言うのだが……。原作は伊藤潤二。
短編漫画そのままの間延びした脚本で、ひとことで言えば雰囲気Jホラー。貞子ポジションの柴崎コウが白目をむいて熱演しているのもコメントしづらい感じです。
それでも観客を引っ張るパワーがあるのが不思議です。音楽もフィルム映像も、雰囲気たっぷりでそんなに悪くはないです。モチーフが良いせいかもしれません。
ヒトガタとしてカカシを持ってくるところなどは痺れました。まるで等身大のワラ人形。米を食べて生きる民としては、稲作から生まれるワラにも自然と呪術的な力を感じて心が踊ります。愛別離苦の人間ドラマも中々良いです。閉鎖的な村と呪術と仏教とはいかにも日本です。
Jホラーとしてはだいぶ緩いものの、日本列島の土着的精神文化をよく反映した内容だと思います。