ぼさー

ビリーバーズのぼさーのレビュー・感想・評価

ビリーバーズ(2022年製作の映画)
3.5
小さな無人島で共同生活するカルト教団の信者男女3人の(睡眠中の)夢と性欲にまつわる物語。

無人島ゆえに自由に物が手に入らないという物理的制限、さらに教団の信仰のために精神的制限を受けるという舞台設定があり、そこに日本人男女3人を配置したときに何が起きるのか?という物語構造になっている。

その構造の上で睡眠中に見る夢の世界と現実世界の意識について、そして信仰やルールの遵守意識と性欲について、それぞれ対比する形で人間模様が描かれる。

園子温監督『愛のむきだし』にも似ていて、さながら「性のむきだし」という感じでもあるが、愛のむきだしほど主題や宗教への密度はなく、性はエンタメとして描かれている感が強かった。平たく言えばエロかった。特に濡れTシャツまでは。
鑑賞者が夏の磯の臭気を思い起こすくらいに、匂いの描写を追求するともっと生々しいエロスを感じられた気もする。

信仰と性欲の対立の苦悩をもう少し丁寧に描いて欲しかったのと、夢と現実と信仰や飢えによる幻覚の境界のあいまいさもフェリーニばりに倒錯できていると映像作品としてのカルト感も出てよかったと思った。

なにかと登場するイシガメが可愛かった。

****
主演の磯村勇斗さんと北村優衣さん、共演の宇野祥平さん、城定秀夫監督の舞台挨拶付き上映を鑑賞。

職業監督と自称されている城定監督は普段は依頼に基づいて監督しているとのことだが、本作は自ら山本直樹原作漫画を選んで脚本を書いて映画化したとのこと。

出演の3人の仲の良さも出ていて終始和やかな舞台挨拶だった。
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