アタフ

ハッチング―孵化―のアタフのレビュー・感想・評価

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
4.0
北欧ホラー映画と言うと『ミッドサマー』を思い浮かべるが、この映画は結構『ミッドサマー』しかり『ヘレディタリー継承』しかりアリ・アスターの映画の影響を強く受けていることが伺える内容となっている。
家族、この映画の場合は母と娘であるが、家族の関係や苦しみをホラーに昇華させたといった点で『ヘレディタリー継承』とよく似ている。ドールハウスが出てきたり、鳥の死体が象徴的に出てきたり、車内での発狂シーンとか、絵的にも類似点が多い。

この映画の毒親として存在感のあるのが母親である。表面上の"美しい家族"を演出するだけを考えており、娘や家族の本当の心には一切触れることがないモンスターのような母親だ。Youtubeに家族の"美し"げな映像を投稿しているあたりもとても寒々しく恐ろしい。でも実際にこんな親っていそうで怖いですよね。というかそういうYoutuberっているんだろうなぁ。。。

体操選手である娘はそんな母親の身勝手な期待によって、体操の大会に向けて特訓を重ねるが上手くいかない。とにかくこの映画ではこの娘ティンヤが不憫で仕方ないのです。。。
こんな母親であるが、彼女にとっては唯一無二の母親であり母の愛情を欲している、たがその母親からの愛情は与えられることはなく、その不安や苦しみが謎の卵に象徴され、彼女の苦しみが大きくなるのに比例して卵も大きくなっていく。そしてその卵がかえることによって、、、、、

この映画は精神的な葛藤や苦しみを怪物に象徴させる映画で、『ヘレディタリー継承』以外には『ババドック』なんかにも似ていると思う。ホラー映画ってやはりただ幽霊が出てきたり怪物が出てきたりというだけでなく、人間の苦しみとか恐怖をその怪物に象徴させるからこそ、本当に怖いし共感が出来るのだと再認識した。

この不憫な娘と、身勝手な母親の結末には大きな悲しみと因果応報を感じた。個人的には家族をテーマにしたホラー映画として『ヘレディタリー継承』や『ババドック』に続く傑作だと思います!!
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