虚栄に満ちた家庭が徐々に狂気に染まって崩壊していく話かと思ったら、初っ端からもうイカレていてビビった。
最近流行の内証的でイヤァな感じの不幸譚かと思ったら、女の子の心理を描いた、わりかし正統的なホラーだった。
基本的には思春期を経て少女が大人の女性に変態していく話。
娘から見た母との愛憎渦巻く関係性・・・いつまでも大人になりきれない母親って、こういう事を無邪気に子供にするよね・・・真面目で優しい子だから、そりゃ拒食症にもなるわ・・・というエピソードや、父親や年下の兄弟姉妹に対する嫌悪感とかが、巧みに織り込まれていて切ない。
『サスペリア』などのダリオ・アルジェント的美的センスを、北欧フィンランドのセンスで表現すると、こういう絵面になるのか・・・と思って見ると、また楽しい。
特に病院やクライマックスの廊下のシーンとか、母親の部屋とか・・・そうか母親は魔女だったのか・・・みたいな。
キャラクターの造形は『ヘレディタリー』を参照していそう。
それと、あの卵はカラスじゃないてカッコウだよね?と思うと、コレは托卵の話でもあって、あの怪物は育ての母親に擬態していく訳で・・・そう考えると、あのラストの先にあるものは・・・。
女性監督による、なかなか業の深い女の子の物語でした。