もやし

ハッチング―孵化―のもやしのレビュー・感想・評価

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
5.0
めちゃくちゃおもろかった。こんな映画見たことない。

孵化した奴キモいのかなあと思ったけどそれほどじゃないのがありがたかった。

母親がYouTuberで「私の幸せな家庭」を常に演出。息苦しい毎日。普段から勤しんでるバレエも半ば親からの強制。期待が重い。愛情も受けてない。父親は趣味に勤しむ鈍感系。母親の不倫も知りつつ見ないフリ。


卵は主人公のストレスが増す度に大きくなり、ついに孵化する。
とても気持ち悪い姿だが、何故か主人公には唯一の味方に感じて育てる。

主人公が心のどこかで嫌いなものや排除したいものを代行して攻撃するようになる。
これは主人公の、分身…?


リアリティのある物語に自然にバケモンが融け込んでいるのがすごい。
脚本が絶妙。普通ホラーみたいになっちゃうところをちゃんと人間ドラマに落とし込んでいる。

YouTuberの家ということで常にライトを当てたような華やかな家の演出が映画にも良い効果を与えていて良い。

本当に周りにはわかってくれる人が誰もいない。誰も助けてくれない。理解のある人がたまに現れても本格的には助けてくれなかったり、お母さんや後半からは膨れ上がったバケモンに邪魔される(それもあくまで主人公の潜在意識なのかもしれんが)。
でもやはりバケモンが唯一の味方であり続ける。というか共依存であり分身だな。


主人公がどんどん呪われていく様子は本当に気の毒。
でもどこか見ていて清々しい。
人によっては最悪だったなという感想にもなりそうだが、俺はあまりの清々しさ、新しさに心が満たされました。
何だかんだ言っても普遍的な話でもあるよね。
もやし

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