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ハッチング―孵化―のMのネタバレレビュー・内容・結末

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

北欧の眩しい光が余りにもアンバランスに見えるホラー。

「素敵な家族」に執着する母親に逆らえず、自分を押し殺す少女の悲哀。卵から孵った怪物は自由への渇望・反発・暴力性のメタファーだろうが、モンスターであることは否定していない作り。主人公がやったのか生き霊なのか曖昧なのも余計に不安を煽る。

美しい街並みと可愛らしい内装の部屋に囲まれながら、怪物を育てあげてしまった少女の対比が苦しい。彼女を救える立ち位置にいた母親の恋人も、自分の子供と天秤を掛けたら主人公を救える程の関係では無いので仕方ない。

第二次性徴が始まったら、おそらく性の問題も少女を蝕んだはずだが、今作では純粋に「押さえつけられる子供」のみをフォーカスしている。バレエをやっていたという母親の台詞から、恐らく家庭の中で強制されていたのは主人公に偏重しているっぽい。事実として弟の要素(男の子向けの壁紙等)が排除されており、女らしさが重視されている。

化け物が最後は主人公になり変わるが、化け物=主人公の自由であるなら本物の主人公は死によって解放、化け物を押さえつける事は流石のあの母親も難しそうなので、メリーバッドエンドかもしれない。
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