囚人13号

水彩画の囚人13号のレビュー・感想・評価

水彩画(1958年製作の映画)
3.7
イオセリアーニのデビュー作。ダメ男に振り回される妻の物語に突如芸術作品を挿入する、しかし口実として無感動に眺めていた絵画に魅せられて彼らは変わっていく、個人の問題を個人が解決する過程に観客への説明責任など必要ないと言わんばかりに。
作品の解釈も個々の自由であるため、故におかしな観念を植え付けにかかる学芸員は揶揄う格好の的となり、何よりドラマの提起が妻の金で呑みにいくヒモ野郎を追いかけるという悲惨極まりない理由であるにも関わらず、細君が全く同情を誘わない。夫を睨みつけている紹介写真は志村、後ろ!状態だが直後の絵画を眺める二人の顔面アップ、その白目の純真な白さというか穢れを知らぬ赤ん坊のように無垢な瞳の説得力がずるい。
囚人13号

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