倉持リネン

友情にSOSの倉持リネンのレビュー・感想・評価

友情にSOS(2022年製作の映画)
4.0
※B級映画のような邦題が付いていますが、本当に良作なので出来ればフラットな気持ちで本編をご鑑賞ください。


卒業を控えた黒人大学生ルームメイト3人組の家に迷い込んだ”白人”の酔っぱらい少女。
明らかに酩酊している未成年の彼女を通報するか、放置するか、病院に送るか……そんな葛藤を描いた作品。

現代アメリカの”黒人”という立場が色濃く現れ、ただただ悔しい気持ちになる1作だった。

正直、ラスト30分は涙無しには見られない……無論、ただ感動だけの涙ではなく悔しい、悲しい気持ちから来る涙である。

主人公の3人のうち1人は黒人ながら裕福な家庭に育ち、医療免許も獲得したエリート……たが、白人少女に跨り心肺蘇生する姿が警察官の目にどう映るか。それが本作の問題提起であり、実際にこの世界のどこかで起こっている事であると。。そんなことは許せない。

全体的にシリアスな話題を中心にしつつも重たくはなりすぎず、適度に笑えるシーンも挟みつつ社会問題に切り込んでいる良作であると感じた。

特に、ラボでのラストシーンの俳優たちの演技はとても繊細で素晴らしかった。
あの目の表情の演技……そうそう見れるものでは無い。

俳優の年齢的にも、あどけない雰囲気の残る子供と大人の間の年齢を描いているからこそ、表情に深みがあったと思う。

ミドクレ後の可愛らしいシークエンスも必見。かなり重たい内容の映画だったが、あの額縁ひとつで笑顔になれた。
倉持リネン

倉持リネン