はまたに

雄獅少年/ライオン少年のはまたにのレビュー・感想・評価

雄獅少年/ライオン少年(2021年製作の映画)
4.6
名もなき人の不屈の咆哮。

局地的にスラダン級と話題になってた中華CGアニメ、噂に違わぬ傑作でした。

軽快なテンポ、軽妙なユーモア、村の暮らしの汗臭さ、獅子舞の可愛さと躍動感、不遇、不運、不毛な人生のあれこれと要素多彩。クスッと笑えた直後に泣かせにきたり、俺の感情めっちゃもてあそぶやん? な展開で全編飽きさせない。そして見せ場の獅子舞バトルではスラダンで言うところのブザービーターの瞬間もあり、スポ根エンタメの満漢全席といった趣。

あえて目をつぶらに描いているのも日本のアニメの常識とは違ってて興味深かった。でもアンダードッグの物語としてはこれで合ってたと思う。

負けるかクソ! と思っていても競技とは関係ない人生の試練にさらされ、それをひっくるめて乗り越えていく。というか、ぶち抜いていく。そんなん痛快に決まってますやん。泥だまりに顔面を押さえつけられるような屈辱、苦杯が美酒に変わる。そんなん最高に決まってますやん。

ということで、長期熟成の果てに美味くなる紹興酒や老酒のような作品でした。カンペイ(乾杯)!
はまたに

はまたに