こたつむり

エノーラ・ホームズの事件簿2のこたつむりのレビュー・感想・評価

3.1
♪ 「前にならえ 目をつぶれ
   考えるから辛くなるんだ」

一説によると。
ミステリの好事家は購入した推理小説をすぐに読まないそうです。まず、表紙に付いた帯の文字を目に入れないようにカバーを取り付けて、そのまま本棚にしまいます。

そして、ある程度の時を経て。
おもむろに本棚から取り出し「あれ?これってどんな作品?」と首を傾げながら読むのです。そうすれば、予備知識(上級者はあらすじを読んだだけで先の展開を予想してしまう!)も消えているので、まっさらな気持ちで楽しめるのです。

つまり、僕が何を言いたいのかと言うと。
映画においても「どんでん返しについてはネタバレになるから言いません」という言葉ですら、ネタバレになっている事実!物語において“新鮮味”は容易に復旧できませんからね。感想を口にするときは十分に気をつけたいものです。

さて、ここまでは前振り。
ここからが本作の感想です。

前振りで熱く語ったのは“新鮮味”について。
そう。本作はそこがちょっと欠けているんですね。何しろ、本作は続編。登場人物も舞台設定も前作で説明済なので、そこに新しい驚きはないのです。

また、原作(コナン・ドイルの小説)から新たな登場人物が登場しますが…それについても驚けるか、というと…微妙なところ。そもそも、19世紀のロンドンが舞台なので、ある事実における違和感のほうが先立つのです(ここはネタバレになるので深くまで言及しません)。

だから、正直なところ。
面白くないわけじゃあないんだけど、ワクワクドキドキもしない…そんな感じでした。「続編ってそんなもんだよね」と割り切れば気にならないレベルかもしれませんが。

あと、個人的な嗜好で言えば。
主人公に魅力を感じなかったのが一番痛いかも。中身と外見が合っていない気がしたんですよね。

まあ、そんなわけで。
目新しさを取るのか、手に馴染んだ親しみを取るのか…その選択によって評価が分かれる作品。シャーロックの出番は前作よりも増えているので、その辺りが分水嶺かも。
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