MasaichiYaguchi

人生の着替えかたのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

人生の着替えかた(2022年製作の映画)
3.7
人気の舞台やミュージカルで活躍する秋沢健太朗さんが主演を務める短編、「MISSING」「ミスりんご」「お茶をつぐ」という3編で構成されたオムニバス映画は、夫々、兄弟愛の葛藤、女装のコミカルさ、手話での遣り取りの繊細さと、作品毎に色合いや秋沢さん演技が違っていてバラエティーに富んでいる。
最初の「MISSING」では、或る事件で兄が指名手配者となった為に、その責を自分までも負う羽目になった弟の、どうすることも出来ないことへの怒りや鬱憤を抱えて生きる姿をエモーショナルに描き出す。
次の「ミスりんご」は、オレオレ詐欺集団に関わってしまった若者2人が、逃げる為の隠れ蓑として出場した「ミスりんごのコンテスト」でうっかり優勝してしまい、その後の騒動をコミカルに描く。
最後の「お茶をつぐ」では、聴覚障害を持つ青年が日本茶店を営んでいた亡き父の願いに応えようと奮闘する姿を、家族の情愛を交えて映し出す。
また、これら3編の共演者や監督も、中村優一さん、反橋宗一郎さん、木村達成さん、後藤庸介監督、岡部哲也監督、篠原哲雄監督と、主演の秋沢とのコラボで魅力的な化学変化を作り出していく。
劇場は秋沢さんファンの20~30代の女性たちで満席状態だが、性別を問わず幅広い年代が楽しめるオムニバスになっていると思う。