Hiroki

HUSTLE ハッスルのHirokiのレビュー・感想・評価

HUSTLE ハッスル(2022年製作の映画)
4.1
NBAもプレイオフに入って大盛り上がりなのでこの素晴らしい作品を!

今作はNBAのスーパースター“KING”ことレブロン・ジェームズ&ビジネスパートナーのマーベリック・カーターが製作。
さらに主演と製作でNBA大好きのアダム・サンドラー。
もーこのタッグは名作間違いなし。
だってトレイ・ヤング、ルカ・ドンチッチ、トバイヤス・ハリスをはじめとする現役プレイヤー。
ドクターJ、ダーク・ノビツキー、マヌ・ジノビリをはじめとするレジェンドプレイヤー。
ドック・リバースやブラッド・スティーブンスをはじめとする名監督やフロント...などなどNBAに関わるあらゆる人々が出演しているんですよ!
これはNBAファンからしたら夢の物語です!

基本的なストーリーは信頼してたボスを失い失意のNBAスカウトマンがスペインで偶然才能ある若者と出会い彼と二人三脚でNBAを目指すという平凡なお話。
ただ派手ではないけど全体的に加点ポイントが多い良作に仕上がっている。

まず素晴らしいのがプレイの映像。
通常スポーツモノなどの特殊技能を必要とするジャンル映画では、最低限は役者に練習してるもらい後は編集などでなんとか最高レベルのプレイをしているように見せる。
しかし今作は上記の通りメインのボー役のファンチョ・エルナンゴメスをはじめ現役バリバリのNBA選手が多数出演しているため、普通に撮っているだけで最高レベルのプレイが映像になっている。
これはジャンルモノの最初にして最大の壁を乗り越えている。

そして主演のスタン役アダム・サンドラーが本当に素晴らしい。
自身の製作会社がNetflixと長期契約をきているためほぼNetflixお抱え俳優となりつつある彼だけど、NBAの会場でもたびたび目撃されるほどバスケが大好き。
そんなサンドラーがいるだけで、シリアスな空気感が一瞬にして和らぐ。
今作でもほぼ1人でコメディ部分を担っていたけど、素晴らしいアクセントになっていた。

演出的に面白いと思ったのは主人公がライバル・カーミット(アンソニー・エドワーズ)に2度負ける所。
ボーが最初に負けてしまい、ひたすらロッキートレーニングをした後にドラフトコンバインという大事な場面で再び宿敵と対決するんだけど、普通ならここで勝ちそうなものじゃないですか?でもここもまた相手の挑発に乗ってしまって負けるんですよね。
自分を乗り越えられないボー。
この失意の時に母親パオラ(マリア・ボット)がかける言葉が素敵。

「NBAは諦めてもいい。でも彼(スタン)がくれたものを手放さないで。」

まー要は彼は母と娘のためにやりたかったバスケを諦めて生きてきたんですよね。
重荷を背負った。
そして今回スタンはボーが母と娘のためにした事を、あなたにしてくれた事であなたは解放されたんだと。
彼があなたの重荷を背負ってくれた。
プロスポーツにとっては何より結果が重視されるし、それで給料をもらっている以上はもちろん当たり前。

「でもバスケより大切な事は必ずある。」

選手として5回、コーチとして4回優勝経験のあるスティーブ・カーがたびたび使う言葉。
プロスポーツ選手という存在を超えた人間としての生き方みたいなモノがしっかり描かれている素晴らしいシーン。

他にも作中でもオマージュされているロッキー的な練習をして強敵に立ち向かうスポ根演出や家族がそれぞれ活躍する姿(映画監督を夢見る娘の撮影や妻のSNS活用アイデアなど)、そして移民や前科者などラベリングされてきた人々への再定義などなど他にも語るべき所はたくさんある。
非常に総合力の高い映画。

ちなみにライバル役の“アントマン”ことアンソニー・エドワーズは今やNBAを代表するスター選手になったけど、こんなヒール役を引き受けてよかったのか...

2023-27
Hiroki

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