サスペンスかと思ったら、まさかの社会派。
アメリカで実際にあった400人ものの患者を薬の投与によって殺害したナースの物語。
そこにはアメリカの闇が見えてくる。
各地を転々とし、犯行を重ねるナース。誰もが疑問に感じながらも、告発されることは無かった。病院側の保身が原因だ。
遺族に訴えられることを恐れ、経営に影響することを恐れ、見て見ぬふりを続けた。
“誰も僕を止めなかった”
エディ・レッドメイン演じるチャーリーのセリフだ。
ジェシカ・チャステイン演じるエイミーは、重い心臓病を患っていた。保険が無いために手術すら受けられない。検査だけでも980ドル
請求される。
アメリカの医療保険制度や高額な医療費はよく耳にするけど、こんなんじゃ金持ちしか生きられない世界だ。
救急車を呼ぶと高額を請求されるから呼べない、という話も聞いたことがある。
病気を抱えるシングルマザーのエイミーに、優しく寄り添い協力してくれるチャーリー。
それでも患者の不審死を、見て見ぬふりを出来ないエイミーは、捜査の協力をする。
エイミーとチャーリーの息を飲む心理戦に緊張感が高まる。
チャーリーが連呼する“I can't!”
謎を残したまま映画は終わる。
エイミーは、自分に親身になってくれたチャーリーのことを思えばこそ、身の危険を感じてまでも解明したいと望んだのだろう。
エイミーだから止められた。