ぴんゆか

グッド・ナースのぴんゆかのレビュー・感想・評価

グッド・ナース(2022年製作の映画)
2.9
イケイケチヤホヤ枠だったレッドメインの陰キャオタク、経験ない感が拝めます。俺も2人娘がいるんだよね〜って最初に言ってるけどもうそっから薄っぺらくて嘘嘘嘘と思って笑う。

本題に入ると、この作品の元となったチャールズ・カレン事件ほどの規模ではないにせよ、このような事件は調べてみると実は少なくない。

最近だと日本で2016年に大口病院連続点滴中毒事件、
ドイツでは2005年に発覚、逮捕された元看護師が100人以上の殺害を認めた。

時系列的にはチャールズカレンの件に触発されたと考えてもおかしくないが、大口の件での容疑者は自分の勤務時間内に患者が死ぬことで同僚から落ち度を指摘されること、患者の家族への説明の面倒さなどを動機に挙げ、後者の件では心不全を引き起こさせた上で蘇生を試みることで成功して賞賛を浴びたかったと言っている。

チャールズの件では動機が未だに語られていないため、ゆえに一層ミステリーのように語られがちでこうしてストーリー化されたようにも思うが、
どの件でも感じるのが病院という環境での労働の過酷さ、そしてその延長線上にある、患者が忙しい仕事のルーティンの一部でしかなくなっている事態である。

本来患者のケアと寛解、完治が目的であるが
患者が増えることはあっても減って困るなどということはまずなく、当たり前のようにそこに患者がいること、緊急が日常茶飯事であることが常態化していくうちにある種の良くない慣れが身についてしまうのかもしれない。

また作品でも度々取り上げられるように、医療機関における隠蔽体質は今に始まったことではなく、何か起きるたびに問題となるものの、全体として改善に向かっているようには感じられない。

コロナ禍でも明らかになったように、医療における人員不足や環境の不整備はふとした弾みに社会全体の致命傷となりうる。
事件を個人の問題ではなく、社会の歪みとして捉え、組織的な対策を練ることが最重要課題では。
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