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グッド・ナースのフェミ研ゼミのレビュー・感想・評価

グッド・ナース(2022年製作の映画)
4.5
私はチャーリー・カレンなのかもしれない。
少なくともこの断片的なエイミーからみた世界の映画の中のチャーリーしか私は知らずそんなことを思った。

表面的にチャーリーの様な人というのは沢山いる。でも本質では全く別で。
表面的にチャーリーの様のような人というのは、人を救う気もないくせに、自分を都合よく見せるためにしか出せないやさしさで、人の心をもてあそんでいるだけ。
チャーリーは本質的に人を助けることができる人なんだと私は知っている。

そんな風にチャーリーのことを理解してしまえる自分が恐ろしくなった。でも本当は恐ろしくない。
他人のこと理解出来るって言えちゃうのキッショいよなという認識はした上で理解できてしまえている。

彼が動機を今の今まで話さなかったのは、話す理由が彼には一つもない。
話したとて、理解されないだろう。
話すことで、精神の問題にされても困るのだ。
それは全く関係のない誰かを苦しめることにもなるのだろう。

動機が分からないこと、
動機に納得できないこと。
そんなことを想像する。
人は考えることがある方が気が楽なのだと思う。

だから彼は話すことができない。
彼は話さないことでまた誰かを救っている。
彼にこれほど共感しつつも心底軽蔑しているわたしも同時に存在している。
「彼」というより、「ナースとしての彼」の立場は社会から抹殺されなければならない。
でも本質的な人助けができる彼は、ナースとしても尊いとも思う。
私たちはいつも矛盾している。

わがままに人を助ける。
全ての人が健やかで幸せあって欲しい。
だから自分では決められなくてあんな方法を見つけた。




この映画を観た人がわたしのこの文章を読んだら、少しおそろしさを感じるかもしれないなとも思う。

個人的に一生記憶に残る一本になった。
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