アキラナウェイ

ユー・ピープル ~僕らはこんなに違うけど~のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

2.8
人種や宗教の違いを乗り越え…

られるのか?

舞台はロサンゼルス。ひょんな事から出会ったユダヤ系の青年エズラ(ジョナ・ヒル)と黒人女性アミラ(ローレン・ロンドン)。同棲し、やがて結婚を意識するようになるが—— 。

エズラとアミラが急接近していく様子は、ラブコメとして純粋に楽しい。2人共お洒落だし、お揃いのスニーカーを買ったりして楽しそう。アミラを演じたローレン・ロンドンの髪型がシーン毎に変わっていくんだけど、それがまた全部可愛い。

なので、普通のラブコメだったならニコニコ観れた筈なんだけど…。

問題はそれぞれの両親達。

エズラの母親は「私、物分かりが良くて寛容で、何でも受け容れられるのヨ」と言いながら、言葉の端々に差別的表現が散りばめられ、その危うさに自分が1番気付いていない、上辺だけの薄っぺらさが鼻につく。

父親は、我らが「The X Files」"モルダー"ことデヴィッド・ドゥカヴニー。まさか、ジョナ・ヒルの父親役を演じるなんてね。ま、母親に比べてぼんやりしていて、大して目立たず、役に立たず。

そして、アミラの父親を演じるのは、エディ・マーフィー!!もう、白人への敵意丸出しで、「娘を白人なんかにはやらん」という態度が見え見え。

台詞には、ひたすら白人だとか黒人だとか、ユダヤ人だムスリムだと何せ人種差別&宗教差別のオンパレード。

トークとしてもスベリっぱなしだし、これって当事者の人達は笑えるんだろうか?いや、そもそも当事者でもない、辺境の島国ニッポンに住む僕だって、笑うのは憚(はばか)られるわ。

愛し合う息子や娘を差し置いて、ホロコーストやら奴隷制やらで対立する両親達。

結果的にはハッピーエンドに強引に持ち込んでいたけど…。

プロポーズでアミラに贈る指輪が小さいと、友人から指摘を受けたエズラは、ホロコーストで生き延びた祖母から譲り受けたという設定にして、ティファニーの指輪を"ホロコースト化(汚して袋に入れる)"しようと笑っている。

え?
何が面白いんだよ。
笑えねーよ。

息子がプロポーズすると知った母親が、「黒人の孫ができるのね!」と喜ぶ。

え?
なんでそんな言い方が出来るんだよ。
喜べねーよ。

という事で、愛し合う2人以外はただただ不快な言葉を吐き続けるだけ。ラストは両親達も反省し、お互いわかり合えたようで良かったけど。

お子さんが国際結婚される予定の方とか、反面教師としてご覧になられたらどうですか?