回想シーンでご飯3杯いける

ユー・ピープル ~僕らはこんなに違うけど~の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.9
ジョナ・ヒル主演・脚本による、人種問題をテーマにしたコメディ。

ジョナ・ヒル演じるユダヤ系の青年が、ユダヤ教の集会でクセの強い冗談を浴びせられる冒頭から、台詞の情報量が膨大でめげそうになるものの、結果的に言えば、そこはあまり気にせず、ポップな映像と音楽に身を委ねる感覚で楽しめば良い。題材は濃いけど、内容は良い意味で分かり易い作品だと思う。

主人公が付き合う事になったのは、イスラム教を信仰する家庭で育ったアフリカ系の女性。そんな2人が結婚に向けて互いの家族と顔合わせする事になるのだが、人種と信仰と世代という3つのギャップは非常に大きく、話せば話すほどコミュニケーションの溝が広がっていく。

フランス映画の名作「最高の花婿」に、ヒップホップ等のアメリカらしいポップ・カルチャーからの引用を加えた感じか。人種問題だけではなく、アラサーのカップルと、アラ還(アメリカでは何と呼ぶのだろう?)の両親という、ジェネレーション・ギャップも大きく取り上げられているので、日本人にも理解しやすいはずだ。

下ネタやドラッグ関連のダーティーな会話も多いが、それもある意味伏線だったのか、終盤の意外な展開に驚かされる。教科書的な人種問題映画とはひと味違う個性的な映画を見せてくれるのがNetflixの良い所だと思う。