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大いなる自由のMKのレビュー・感想・評価

大いなる自由(2021年製作の映画)
4.1
結構描写が大胆なので付き合いたてのカップルとかにはお勧めできないかも…

『反自然的なわいせつ行為は、男性である人の間でなされるものであるか、獣との間で人が行うものであるかを問わず、禁錮に処する。』


1871年に制定され、最終的な撤廃までに1994年までの時を要したというドイツに実在した法律を扱った物語とのこと。

反自然的なわいせつ行為の逆説は
自然な性行為?なんだろそれ?

自然か自然でないかを最も不自然な社会と法律が定めているだなんてなんとも不思議。

そんなドイツ下にあって同性愛という罪?を重ねたユダヤ人強制収容所から直接投獄された男と長年の刑に服する男の年月を経ての友情の物語という感じかな。

人を愛した罪、愛する人と共に暮らしたいと願う罪、おのれの性欲を満たしたいとする罪…そんな「自然な」営みに苛まれていく人たち。

はじめは変態と蔑み蔑まれた二人の年月を重ねての友情と二回のハグ。

変態扱いできてしまうのは無理解の証?でも彼らはお互いに無関心ではなかったから一人の人間としてお互いを理解して交流を重ね、深めることができるようになったのかなと思えた。

ラストの男の選択はとっても印象的。

社会が変態を理解できないままルールだけ変わってしまったことへの違和感、背徳感はあっても美徳とも思えた価値観の漂白とでもいうのか…彼の戻った場所は監獄ではなくそんな彼なりの美徳と愛のある檻の中とも言えるものに思えた。

法律やモラルなんて人々が欲望のままに行動することを統制するためにあるのは理解するけれど、法律が情緒的なシステムであってはならないとも思う…。

すべての人々が幸せに暮らせるルールなんて多分ないと思うけど、後に改正されてしまうような悪法が出来たり取り下げられることがなくなるように願うばかり。
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