いかちき

大いなる自由のいかちきのレビュー・感想・評価

大いなる自由(2021年製作の映画)
4.4
なかなかレビューを更新できないでいた。
とてもいい映画なのだけどとても重い。
『第二次世界大戦後のドイツ、男性同性愛を禁じた刑法175条の下、ハンスは自身の性的指向を理由に繰り返し投獄される。』
ハンスは何度投獄されても変わらない。彼自身であるために変えられない。
独房の中でマッチを擦り、仄かに浮かび上がる寡黙なハンスの背中が痛々しい。
とにかくハンス役のフランツ・ロゴフスキがすばらしい。
演技だけではなく肉体も口調も変えて20年もの時を表現する。
「希望の灯り」の時の演技をあまり覚えていないのだけど全く別人の印象。
ヴィクトール役のゲオルク・フリードリヒも良かった。頑なで排他的。
そうか、少しずつでも人は変われるのかもしれない。関わる人に因って精神も肉体も変容するのか。

冒頭の公衆トイレの監視映像がショッキングだった。
パンフレットにあった監督がインスピレーションを得たというウィリアム・E・ジョーンズの「Tearoom」というインスタレーションを検索してみた。
なんとも言えない気持ちになった。
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