Jimmy

夜ごとの夢のJimmyのレビュー・感想・評価

夜ごとの夢(1933年製作の映画)
4.0
成瀬巳喜男監督のサイレント映画。
原案は後年の小津作品の脚本家=野田高梧。
なかなかドラマティックな映画だった。
また、栗島すみ子が非常に綺麗。

物語は、ある女は幼い息子を育てているが、そこに逃げた男(息子の父親)が帰ってくる。
しかし、貧しい生活で、男は就職できない。
そんな折、息子が車にハネられて大怪我、いよいよ金に困って……という成瀬らしい物語。

冒頭、酒場の女(栗島すみ子)が港付近で男2人からタバコもらって歩く姿。
女は舟に乗るが、同船の客たちからは「白い眼」。
洗濯ものだらけの長屋へ着くと幼い息子を預かってもらっている。
「あんたの留守中に男が来た」、「あんた女給やめたら?」と言われる女。
ここで、「鏡に映ったボサボサ頭の女が、一瞬で綺麗な頭にした女になるシーン」があり、成瀬監督の素晴らしき映像美を堪能。

そして出てくる飯田蝶子が若いのでビックリ(笑)
女将(飯田蝶子)に金を借りようとする女は断られて、自分に好意を持っている男(坂本武)から金を借りることになる。
ここで「お金のアップ」、これまた成瀬らしい。

「おみつ!」と呼ぶ男は子供の父親だった。この女の名が「おみつ」(栗島すみ子)というのが分かる。3年前に逃げた父親は、斎藤達雄。

ここで、「父親が部屋の中で投げているボールが、子供達の草野球のボールにオーバーラップするシーン」があり、またまた成瀬監督の映像美。

蒲田映画らしい佳作であった。
Jimmy

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