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まなみ100%のkeeeeetのネタバレレビュー・内容・結末

まなみ100%(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2023
100/100

ただAさんとBさんがくっつくかどうかのてんやわんやを描くだけの恋愛映画はあまり好んで観ない。だけど「恋愛とは何か」を考える作品は興味を持って観ようと努めている。この作品もその類だと信じて観賞。

役者がみんな良い。
特に伊藤万理華。学生時代のイケイケだった頃と社会人になってからのくたびれ感滲み出る姿が、しっかり時間経過を感じさせる。あとはオラキオの先生も雰囲気あってハマっている。

タイトルの100%が何を指すのか作品内では分からないし言及している媒体も自分が探す限り無い。
個人的な解釈で言えばまなみちゃんへの真剣度なのかなーと考える。主人公のボクはそのときそのときで色んな女性と関係を持っており(そして一人一人に対し特に紳士的でもない)まなみちゃんに一途とは思えない。せいぜい50%くらいだろと。
でもそれは観客含めた第三者から見えるボクの姿勢であり、誰が何と言おうと誰の目にどう写ろうとボクの中では絶対まなみ100%なんだと思ったら真剣度が伝わらないというのはなんて悲しいことだなと切なくなってしまう。実際ボクの言葉はいちいち軽く、まなみちゃんにも「真剣じゃないから」とはぐらかされている。でもそれは誰のせいかと言われれば当然ボクであり、まなみちゃんの前で100%なんだ信じてくれと腹を括って気持ちをぶつけることは最後まで無い。
何度もチャンスを棒に振り、先輩の死というターニングポイントでさえ何も起こせず、結局まなみちゃんは他の人と結ばれる。桜の下で待っていた時期も確実にあったのに。
恋愛にはタイムリミットがある。作中何度もまなみちゃんに言われる「君はバカだね」という言葉も、その時々で意味が違う。でもそれに気づける主人公だったらこの物語は生まれていない。「伝えようとしなきゃ伝わらない」というのが作り手の伝えたいことなのかなと思った。ボクから学べることは多い。ひょろチャラい人たらし風のこいつがのらりくらりと仲間とそれなりに楽しく生きていく様子はムカつきつつも羨ましさもある。だけど好きな人へ一歩踏み出す覚悟が足りないところは共感できる部分でもある。ラストを見ると、どのときにどうすればまなみちゃんの心を掴めたのかを考えずにはいられない。それは観客である自分の人生にもフィードバックできる教訓でであり、然るべきとき、然るべき人に己の100%を伝えるときにボクという道標を必ず思い出す。
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