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REBEL MOON ー パート1: 炎の子のEPATAYのレビュー・感想・評価

REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)
4.0
今作を見ると、『ジャスティス・リーグ』や『アーミー・オブ・ザ・デッド』で本当にやりたかったのはこれなんだなと思わせられる。

『七人の侍』をベースに『スター・ウォーズ』などザック・スナイダーが影響を受けた作品に対して、俺はこの作品でこんな場面が見たかったんだ!!とアンサーしているかのような映画だった。

ザック・スナイダー監督らしいキメキメカットは健在なのはもちろん、今作はすごく構成が丁寧な印象だった。

仲間集めをするにあたって、いかに限られた時間内で主要キャラのバッググラウンドを語るか、世界観を示すかなど、1個1個が丁寧すぎるくらいに丁寧。

例えば、物語の「起」に当たる部分では、しっかり【始まりの村】から冒険が始まって、そこに現状では歯が立たない、5面くらいの中ボスを登場させて......みたいな、見てる側が体感で理解しやすい構造になっている。

キャラ集めの過程においても、バトルだったり会話で説得だったりと、全部ちゃんと違うイベントを設定していてちょっとビビる。

それとすごく良かったのが世界の奥行きの見せ方。この作品の世界はこんなに広いんだよってことを、単純にいろんなところに行ってイベントが起きてとかじゃなく、その土地の生態とか風土とかそういったものの見せ方で示すというのが本当に偉いと思う。

1個1個の要素を分解して見ていくと、目新しさってのはなくて、ここあの映画っぽいな、これはあのゲームっぽい!とか正直既視感には溢れているし、丁寧すぎるがゆえにキャラの設定で「ああ、こいつはこんな感じで死ぬ要因だな」とかっていうのが比較的わかりやすい。

アクションも見たことのないアクション!とかではないから、新しいものを見ている気持ちよさみたいなのはあまりなかった。

ただ、これは別に悪いことではなくて、言い換えれば【王道】ということだし、前述したように世界観の奥行きをしっかり描いているから、通しでみたときに『LEVEL MOON』のオリジナルの世界になっている。

あとはザック・スナイダーは中ボスの魅せ方がやっぱりめちゃめちゃ上手い。

『ジャスティス・リーグ』のステッペンウルフとかもそうだけど、その後ろにもっと強い敵が潜んでる感があって、でもこいつはこいつでめちゃめちゃ強くてっていうすごく絶妙なパワーバランスの表現ができている。

まあ、丁寧に構成しているとはいえ、キャラが多いゆえのあっさり感みたいなのはあるし、クライマックスのバトルで見せ場があまりないキャラがいたり、「え、その状況でこいつらこんな状態なのに無視するんだ」みたいのはあったけどそこまで気になるわけではなかった。

あとはパート2次第だけど、個人的には『七人の侍』として終わらせられるかどうかだと思っている。

それには、いかにしてキャラを殺すかと、いかにミクロな物語に収束できるかが鍵で、規模ばかりでかくなって中途半端になったり、「ああこいつら死なないな」ってなって緊張感がなくなると評価が下がると思う。

始まりの村で始まって、始まりの村で終わる。その結果世界を救うことになっていたみたいなバランスで完結させてくれたら文句なしです。
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