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REBEL MOON ー パート1: 炎の子のコマミーのレビュー・感想・評価

REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)
3.5
【村を救う為に】





「300」や「ジャスティス・リーグ」などの"ザック・スナイダー"が、「スターウォーズ」用にルーカス・フィルムに提出したものの、没になってしまったザックの「幻のスターウォーズ計画」たる構想をザック自ら映像化したものだ。
主人公"コラ"が"暴君の軍勢"から自身が住んでいる"村を守る為"に、銀河を駆け抜け"仲間を探す旅"に出かける物語である。

もうまんま「スターウォーズ」いや黒澤明の「七人の侍」が踏む"最初の段階"とほぼそっくりな内容であり、そこにザックの"手法や解釈"を混ぜたものがこの「レベルムーン」の物語となったのだ。名もなきものが様々な思いを乗り越えて"命を賭して"敵に立ち向かう姿は、「スターウォーズ」の中でも「ローグワン」を思わせた。
"ぺ・ドゥナ"演じる"ネメシス"の双剣のような武器が途中から"ライトセーバーみたい"になる所も嬉しいオマージュだし、村にいたあの"ロボット"がスターウォーズで言うC3POや「ローグワン」だとK2SOを思わせていて面白かった。
"ソフィア・ブテラ"のアクションがほんと素晴らしいし、そして何より彼女が主演の大作映画をやっと見れた事が一番嬉しかった。近年の彼女が出演した作品は酷いものが多かったから…(例えばあの日本の監督のハリウッドデビュー作とかね?)。

しかしながら、物語…特にこの仲間集めのシーンがとにかく荒削りすぎてどうも乗れない。"カイ"や"タイタス将軍"など、それぞれのキャラクターについての"バックストーリー的"なのが全然説明されてないし、そのせいで魅力を感じない。もう少しこの戦士たちの価値を高める為に、ザックは尺を伸ばすべきだったし、あと本作の"ディレクターズカット版"が気になる…なぜこちらを公開しなかったのか?
ザックスナイダーの作品に、このテンポの良さはあまり似合わないのではと感じずにはいられない。

こうなってくると、"後編"も少し心配になるのだが、ザックらしさも良くも悪くもちゃんと出ている作品で、彼がかつての作品を通して伝えてきた"神話が爆発した作品"なのだなと感じた。"エド・スクライン"演じる"提督"との戦闘は、かつての「スターウォーズ」のラストバトルシーン並みに興奮したし、お得意の"スローモーション演出"は実にザックらしいなと感じた。

とりあえず、PART1は幕を閉じ、物語は来年4月に配信される後半戦へ。

この叙事詩がどのように展開するのか、不安ながらも楽しみである。
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