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REBEL MOON ー パート1: 炎の子のkuuのレビュー・感想・評価

REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)
3.8
『REBEL MOON: パート1 炎の子』
原題 Rebel Moon: Part One - A Child of Fire
製作年 2023年。上映時間 135分。
ザック・スナイダー監督が構想に20年以上を費やして完成させたSFスペクタクル2部作の第1部。
黒澤明監督の名作『七人の侍』にインスパイアされ、銀河の支配者から自由を奪い返すべく立ち上がった7人の英雄の戦いを壮大なスケールで描き出す。
ザック・スナイダーは最初、今作品をスター・ウォーズ映画として構想し、2012年にディズニーに買収された直後にルーカスフィルムに売り込んだが、実現には至らなかって、このほど、Netflixに移った彼は実を結んだ。
ソフィア・ブテラが主人公コラを演じ、ペ・ドゥナ、アンソニー・ホプキンス(謎に包まれたロボットキャラクターの『ジミー』の声)、チャーリー・ハナム、ジャイモン・フンスーら豪華キャストが集結。
Netflixで2023年12月22日から配信。

巨万の富と強大な軍事力を持つ帝国マザー・ワールドが支配する銀河。
過去を捨てた女性コラは、宇宙の辺境にある小さな惑星の平穏な村でひそかに暮らしていた。
しかしある日突然、帝国の軍勢が村を襲撃。
コラは村人たちを守るため、そして自身の過去と向き合い償うために立ち上がることを決意する。宇宙へと旅立ったコラはさまざまな惑星を巡る中で、それぞれ贖罪や復讐を求める仲間たちと出会い、銀河の自由を勝ち取るべく壮絶な戦いに身を投じていく。

ザック・スナイダー監督の最新作の今作品は、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977年)』や『七人の侍』、『DUNE/デューン 砂の惑星』やら、代表的なゲーム『Mass Effect』といった古典的な作品にオマージュを捧げ、視覚的に美しい銀河の旅へと誘ってくれる。
紛れもなく小生は魅了された。
しかし、一方で、今作品はいくつかの物語上のチョットした問題にはに遭遇するが、その全体的な巧みさは、スナイダーのユニークなビジョンとスタイルの証かなって思います。
ただ、すべての人に完全に理解されるとは限らないし、実際、批判的なレビューもネットには溢れてるかな。
個人的に、今作品は象徴的なソースからの要素を見事に融合させ、懐かしさと新鮮さを同時に感じる物語のモザイクを作り出していると思います。
『デューン』のエコー(超音波)が壮大なスケールと緻密な世界観に共鳴し、展開する物語に魅惑的な背景を与えていました。
『七人の侍』の影響は、仲間意識とヒロイズムを前面に押し出し、キャラの力関係に深みと情感を与えている。
ゲームの『Mass Effect』の影響を考えると、未来的で銀河系的な要素に感じられ、幾重にも重なる複雑な想像力をかきたてる宇宙を作り出している。
しかし、今作品にも、好意的な小生でも看過できない欠点がある。
物語のいくつかの部分が急ぎ足に感じられたし、特定のプロットポイントやキャラ・アークをもっと徹底的に掘り下げるべきじゃないかと。
時間の都合もわからなくはないが、なら長編ドラマでもよかったんじゃないかと。
その辺りを鑑みてたらもっとよくなったんちゃうかと、願望、いや切望に似た気持ちになってます。
でもまぁ、こないなテンポの問題にもかかわらず、今作品は映画的な輝きを放つ瞬間によって、なんとか名誉挽回には成功してるんじゃないかな。
映像のスペクタクルは、激しいアクション・シーンと相まって、壮大なスペース・アドベンチャーの約束を果たしてはいる。
スナイダーは、卓越したビジュアルとテーマ的な深みを融合させた独特のスタイルを持っているが、彼のストーリーテリングのニュアンスに同調が難しかったら、今作品は回避した方が無難なんかなぁとは老婆心ながら思います。
結論として、今作品は、ザック・スナイダーが彼独自のスタイルで、視覚的に印象的で感情に響く映画を作り上げる能力を証明するものとなったと個人的には思います。
時には物語のテンポにつまずくこともあるが、映画全体のインパクトは紛れもなく力強いし、スナイダー監督の独特な映画表現を評価する人なら、今作品には多くの魅力を感じるに違いない。
パート2が待ちきれない。
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