ひば

NOPE/ノープのひばのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.2
始まりは黒人だった。映画の始まりも。ちょっとここまで大作風味とは思わなかったので楽しかった、昼を舞台にしてくれてごまかしはやらんの気概が伺える。考察うん千うん万通りありそう、よくわからんSFから人がどのポイントをつかみとって見てるかが細分化されてる。登場人物たちも各々それぞれの"絶対負けないからな"の信念を持ってて、その別方向に向けられた信念が一つの目的"撮影"に集約するので映画というジャンルでやるのも意義があるなぁ。撮影、特に遠方からのショットや事象が流れる動きがとても良かった。『宇宙戦争』が一番最初に思い付くかな、植民地支配的話なのかしら。『バクラウ』かな?と最初は思ってた。ルールがわかりやすくそれを補足するギミックのアイディアも可視化も冴えてる、『トレマーズ』とかジャンル映画リスペクトだ。戦争で考えると意外とよくできているというか、制空権を持ってる方が有利だけど、そこで諦めずに知性(文明と地の利)を掲げ補給路に目を向ける。びよんびよんくんにアカデミー賞助演賞あげちゃう。ダニエルカルーヤわたしも絶対に映画で使いたいかっこよかった。猜疑やしばし考え中、一種の諦観などが混濁した表現がとてもうまいし引き込まれるので物語を担う力がある。キキちゃんも太陽みたい。未知の物語という大まかな規模では何が起きるかわからないんだけど、マイノリティの視点で見るとこれ次はこうなるのでは?とこれまでのマイノリティが辿ってきた歴史の所謂ステレオタイプな結末が想像できることをうまくいれているなと。"見ないふりしてやり過ごす"の使い方とかね。撮影に挑む電気屋の兄ちゃんの「これ意味あることかな?」という問い、お前にはそうしか映らんかもしれんけど(とはいえあなたもこれまでそんなに良い扱いをされてはいないと思う)、黒人兄妹にとっては違う。スティーブンユァンはそれ以上の、現在進行形で変容し続ける多様な自然の啓示の端を解読してた(した気になってた)んだろうなぁと、"よくわかんないから怖い"という感情は人類の発展と共に"よくわかんないけど怖い"に変化していった傲慢さをわたしたちも今受け継いでいるのだなぁと思いました。異文化融和の見世物、飼い慣らしの裏に何が起こっていようと心も金も動かすのだ。でもそれでもその誰でも手にできるようになった"撮影"は武器となって多くの人々特にマイノリティを救ってもきた。人生をやり直そう"と思える"チャンスは誰にでもあるという視点で見るとみんな愛しいなと思う。心の転機はどこかしらで訪れるのだと。エンドロールがオレンジからどんどん黒になってくのがなんか怖かったです。ジョーダンピール作は『ゲットアウト』が一番すきかな。『アス』も見たし監督作じゃないけど『トワイライトゾーン』はS1/2共に見たし、『キャンディマン』も見たし、一応『キアヌ』も見たし、ファンなのかも。『トワイライトゾーン』にスティーヴンユァンが出てる回(S1E4)があって親しみやすい不気味さ、アジア人規範の印がこめられていた。ジョーダンピール、シャマランとスピルバーグをこえてゆけ…西部劇に黒人がいるのはポリコレと言ってる人を見たことがある。まったく馬鹿げた話だ
ひば

ひば