ダイナ

NOPE/ノープのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ジョーダン・ピール監督のSFスリラー映画。ゲットアウトやアスの「なんなんだこれは!?」という一癖も二癖もあるスリラーという印象は本作でも健在。監督のテーマをユニークに表現する才能もさることながら、盛り込まれたエンタメ要素が格段とパワーアップし潤沢な予算による規模感の大きさ、何もかもがダイナミックでした。
トレマーズやジョーズが好きなので、脅威襲来撃退モノはたまらないですね。

印象的なシーンを必ず用意してくれるピール作品。馬の尻に刺さる鍵や木馬、「Gジャン」の中身、ジュピターパークの舞台・小物・見せ物の凝り方も素晴らしく、何と言っても「ゴーディ事件」の作り込み!また「ダンサー」の使い方が素晴らしかったです。荒野にカラフルなダンサーを配置することで画面に彩りが出てカットがとても印象強くなり、かつ「Gジャン」が持つ設定の周囲の無電化を検知する役目を果たすという無駄の無さ。

OJの寡黙・エメラルドの饒舌ながらもお互いに信頼し心配しサポートする兄妹愛、エンジェルのやさぐれ店員と見せかけてのやるときゃやる漢らしさ等個々キャラの魅力が溢れる本作ですが中でも目についたのはスティーブ・ユアン演じるジュープ。壮絶な過去と現在の経営腕、収集部屋や「協定」といった謎が詰まった人物。彼について考えれば考えるほど面白い。しかしゴーディ事件での立った靴はなんだったのだろう。Gジャンと関連性はない「最悪の奇跡」の意味合いだったのでしょうか。途中参戦のアントレスの背景はもっと観たかった感じはあります。

「Gジャンを倒す」というだけであれば国に任せればいいんですが(軍隊が動けば楽に倒せそうではある)、本作では「心にぽっかり穴が空いた人達」が「馬を奪われる、命の危険に晒されるといった一方的に蹂躙してくる脅威」に立ち向かうからこそラストの撃破、撮影(これ重要)、そして「最悪の奇跡」に奇跡的に勝利した兄妹の絆が映されたクライマックスとカタルシスが最高に感じることができると思いました。果たしてあの後井戸写真は世間に信じてもらえるのだろうか?被害状況的に信憑性はあるのか。

なんにせよ鑑賞中に「この映画終わってほしくないなあ」と思わされたのがとても嬉しかったです。パンフレットについて、小ぶりなサイズが読みやすくライターさんのレビューでの本作プロットに対する視点やオマージュのメモが面白く、監督コメントや製作裏話と読み応えありなのでおススメです。
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